ゆとりが叫ぶFuck the World

アラサーゆとり世代が映画、音楽、ゲームなど自分が今まで接してきたもの通じて感じたことを残す記録

NOPE(2022) ホラーじゃないよ前後半で2度おいしい傑作

前回「アンテベラム」を視聴したがなんといっても見ようと思った要因としてはジョウダン・ピール監督の最新作「NOPE」が公開されるからである。

前々作の「ゲットアウト」視聴時はマジくそ面白い話と思い大ハマり、しかし正直前作の「アス」についてはなんだかなーといった印象だった。

けど嫌いではない監督なので何とか劇場で見たいと思っていた。

余談だがNOPEみたいなと思い近場の映画館を調べたが封切りから1週間くらいしかたっていないのにすでに朝一やレイトショーしかやっていない状態で正直悲しい。というかワンピース上映数取りすぎやろ。

というわけで朝一視聴で時間があったのでそのあとに同僚に激推しされていた「トップガン マーベリック」を視聴、これは書くまでもないので割愛

 

NOPE

 

【あらすじ】

ハリウッド作品などに出演馬を貸し出す牧場を営む黒人のOJ

父がある日上空から落ちてきた5セントに直撃するという最悪の奇跡により他界

その後自身がトップとなり牧場経営をするがうまくいかず

そして身の回りで不可解なことが起き始め、父の死とその現象は関係があるのではないかと思い始まる

妹エメラルドとともにその現象をカメラに収め一攫千金を狙うが事態はその現象との激闘へと進んでいく

 

【感想】

正直ジョーダン・ピール監督の作品はホラーではないと思う。

どちらかと言ったらSFやミステリーじゃないかなと思う。

まず最初にこれ関係あるのという視点やシーンが提示されそれが映画を通して回収されていき、途中でネタばらし、そこからラストに向かって話が進んでいく。

だから監督作品がどう思われているのかわからないけど、最後にどんでん返し系の作品でもないと思うし、何なら途中でネタばらしするけどそこからも面白い作品ではあると思う。

またホラーっていうわけでもないと思う、確かにホラーっぽいシーンもあるけどそれが霊ですとかではなくしっかりと意味や実体のあるものだと思うし。

だからそういった視点でこの作品を見るとがっかりするのかなと思う。

 

自分としては今回の作品は自分は今年ベストに入れていいくらい傑作だと思う。

前半はゆっくりとしたテイストでヤツとの遭遇や周りに起こる怪現象などが描かれる。

なんといっても好きなシーンは怪現象ではないが近場のテーマパークの子供が宇宙人の振りをして忍び込んでいくシーン。

見えるか見えないかのぎりぎりのラインで何かが動いてこっちに向かってくる、あのゾクゾク感が最高。

そして集まる仲間たち、からのラストのヤツとの勝負はめちゃくちゃテンション上がる。(決着までの部分はやや冗長かなと思う部分もあるけど)

何よりも変態カメラマン集合で全員役者がそろった後の作戦建てからの準備シーンが最高でテンションが上がった。

そしてここから始まるという狼煙を上げるようにあの空気ダンス君たちが立ち上がる。

ここからの流れは最高でわくわくしっぱなしだった。

 

最初のシーンでチンパンジーが視聴者側に目を向ける瞬間にもしかしてこれは第4の壁を超える的な話なのかとわくわくしたがそうではなかった。

けど今回はどちらかといったド直球のモンスター映画的なテイストでそれに立ち向かう人の話としてはとても面白かった。

ネットの感想を見るとホラーと期待している人が多いのか、何か大きなどんでん返しがある作品と思っている人が多いのかと思う。

かくいう自分も空に浮かぶヤツとチンパンジーが何かつながりがあるのではとか、吸い込まれた先にまさかチンパンジーがいるだったり、違う次元につながっているとかなのかといろいろ邪推はしたが、結局はド直球のモンスターものではあった。

それでも面白いから文句なし

 

【考えたこと】

別に考察しなくていい作品なんだけど考えたことは書こうと思う。

今回は見る、見られるの関係と目を合わせる、目を合わせないが重要。

チンパンジーも見世物として消費されていたがある日見られるものから見るものは逆襲を受ける。

その中で生き残った少年は見られるものたちを操り切れると思ったのか、心が通じることができると思ったのか空飛ぶヤツに対しても同じように見世物として消費しようとしたところしっぺ返しを食らう。

もう一つ重要な点は心が通じていると思っていたチンパンジーとは直接目を合わせていない(レース越しの視点から)

ここで主人公と違うのは見世物としての馬を毎日向き合い、本当の意味での世話をして目を合わせている。

そういった主人公が最後にはヤツに勝利をするというのは一つのテーマだと思う。

 

また見世物だと思っていたやつもこっちを見てるんだよ、何か考えているんだよという部分。

自分も動物園などで見る側として動物を見ているとこいつらなんも考えてないのかなぁとか何考えてるんかなと思うことがある。

これを拡大して考えると今SNSなどで誰かのつぶやき、誰かの行動をみて消費している。

叩くやつをたたいて徹底的に馬鹿にする、その瞬間は自分たちは上になって見る側となる。

けど馬鹿にされている見られている側も何か考えているし、いつか逆襲される、同じ立場になる可能性もある。

この考えは差別や、映画というものもそうかもしれない。

見て面白がっているうちは安全だと思っているが本当にそうか?という問いかけ。

映画という見るものを通して見る、見られるの関係を考えさせられものかと思う。

 

となんかよくわからんことを書いたが別に考察なんてしなくともめっちゃ面白い作品なのでお勧め。

最近なんかこういった考察や作品の本質をつかまないとダメみたいな風潮があるのでなんだかなと思う。

答え合わせなんてできないし、感じたこと考えたことに間違いはないと思う。

確かに歴史やほかの作品、バックグラウンドからいろいろ批評をすることは重要だし、自分の視野を広げてくれるものだと思う。でもさ見て感じたことを大事にしましょうよ。ほかの人の意見でや正しげなことに流されるのではなく。