アンテベラム(2021) マジでやられた傑作 【ネタバレ】
ジョーダン・ピール監督の「NOPE」が今週公開となる。
そんな中でジョーダン・ピール監督作品に似ている映画としてずっとスルーしていた「アンテベラム」を見た。
めっちゃ面白いという情報は入っていたが予告も見ていない、あらすじも知らない情報まっさらな中で時間ができたので見てみたがこれがマジで傑作だった。
事前情報を仕入れなかった自分に感謝!
【あらすじ】
時は南北戦争時代
奴隷として白人に搾取されるエデンが主人公
どうやら彼女は奴隷の中でも先導者的な役割らしい
しかし激しい白人の抑圧、搾取の中、彼女の活躍を期待する同胞たちの中で白人たちの圧政から抜け出せずにいた
そんな中彼女はこの理不尽な奴隷制度から抜け出すことはできるのか・・・
簡単にまとめるとこんなストーリーなのですが、まず言いたいのがトレーラーがナンセンスすぎる。
鑑賞後にトレーラーを見てみたがひどい。
まずいきなり現代シーンから始まり女性革命家のような人間が主人公と明示してしまう。
そしてそこから過去のシーンに重なり、飛行機雲などを移してしまう。
なにやってんのかと
事前情報がなかった自分は、まず始まる南北戦争時代ということを明記するオープニング、そこから奴隷制の厳しい生活が描写される。
しかし主人公含めここから抜け出そうと画策している人間たち、圧政に屈していない人間が居るということがわかる。
この時点でここから抜け出すことがこの映画の目標かということがわかる。
けどホラーぽいジャケ写だったためここからどうホラーになるのかワクワク見ていると、映画40分あたりで急に南北戦争時代に似つかぬ携帯のバイブでいきなり現代シーンへ!
お、なんだなんだ、そういうことか、ここから現代パートに入ってこれが過去とシンクロして過去のエデンを逃がす話につながるんだな!と更に期待値がアップ!
ここでトレーラー見てるとはいはい知ってますよという感じで驚きが1段階減る気がする、だからこのトレーラーはナンセンス
そしてそこから現代パートで黒人女性活動家としての現代のヴェロニカの活動が描写される。
そして現れる謎の白人女性など不穏の空気が流れ、タクシーシーンで一回全てがつながる。
あぁ!こいつら過去にもいたやつらや!!
そうか、ここから過去の話が数世代前で前世代VS今世代で話が繋がっていき一気に話が進むのか!と更に期待アップ
が、そんな予想は数分で打ち消される。
過去シーンでエデンと将軍が寝ているシーン、なぜか過去シーンなのに携帯のバイブ音が響き渡る。
は?なにこれなんで過去に携帯あるの?時空が歪んでる系?
と謎がこの段階で提示される。
そして綿花農場のシーンで空に飛行機が飛んでいることが明示される。
その瞬間、もしかしてこれが現代なのか!とすべてが繋がる。
そしてここから怒涛の展開一気に脱出のための計画が進んでいき、ずっと触っていたのが子供が書いてくれた絵を彫ったものだとわかる。
またヨガをやっていた体の柔らかさの伏線がここで生きてきてベッドから脱出、今まで音を立てないように扉に行っていた伏線を回収!
ここからクライマックスで憎き奴らを全員成敗!そして馬で自由へと駆け抜けていくラストへ!!
なによりもいいのがエンドクレジットでその後は明示されるもののエンドクレジット前のカットが飛行機が空を飛ぶシーンで終わる。
これは自分の愛娘に飛行機を見たらお母さんが帰って来てると思ってと言う途中にセリフに繋がり無事家族の元へ帰れたことを描写していてとてもキレのよく後味スッキリ、無駄に後日談でダラダラやらない最高のラストカットだと思う。
ラスト含め最高の作品だと思う。
なによりも過去とリンクさせて、過去こうだったから今の黒人差別から脱しようというメッセージではなく、すべてが現在の話とすることで今も昔と変わらず差別、抑圧は続いているしそういうことをする奴らはいるという痛烈なメッセージになっている。
なによりも今切り開いて行くしかないんだというとても大きなメッセージになっている。
そして最後にアンテベラム(南北戦争以前の時代)という看板が壊されることで、てめえらの時代は終わったという意思表示で終わるのが最高で最後にはガッツポーズで締めくくられる。
まあとにかく最高な作品、ネタバレを書いておいて言うのもあれですがまじでなにも情報を入れずにこの感覚を味わってほしい作品。