サイバーパンク エッジランナーズ(2022) ゲームの世界を拡張する傑作
皆さんサイバーパンク エッジランナーズはご覧になりましたでしょうか。
配信1週間後に見て感想を下書きしたまま今までずるずると来てしまい、今更下書きを発見したので遅すぎますが投稿する運びとなりました。(これだからズボラは困ります)
自分とサイバーパンクの出会いはティザーのトレーラーだった。
スローで展開される映像、マンティスブレードを展開して座り込む物騒なブレードが似合わない女性、その周りには目にレンズが複数個あるゴーグルをかけたマックスタックが・・・とサイバーパンクバリバリの映像。
これを見てこれは俺がやらなきゃいけない作品だと見た瞬間から虜になった作品であり、そこから7、8年くらい待たされた付き合いの長い作品でもある。
幼少期にブレードランナーを見てその世界観の虜になっていた自分にとってはついに来たかという作品だった。
紆余曲折あり忘れたころにトレーラーが発表されるなどついに来たかという感じだった。
そして発売日、前日からPC版をダウンロードして待機。仕事終わりにナイトシティーにダイブしたのは今もいい思い出だ
当初はもっとロールプレイ感が強いと思っていたがそこは少しがっかりだったが、自分の中では1週目はノーマッドで外界からナイトシティーに乗り込んだ荒くれ物で脳筋プレー、そのあとはコーポレートで知的なネットランナープレーと決めていた。
結局は1周ナイトシティーを楽しんで俺のナイトシティーライフは終わった。
しかしあの密度のサイバーパンク世界を楽しめるゲームとしては唯一無二であるし、発表から発売まで含めてとてもいい経験をさせてもらった。
世の中では前評判に比べてがっかりみたいな評価だが普通にPCでやれば楽しいし、PCで最高のサイバーパンク世界を味わう気がない生半可な気持ちでやってるようじゃこの世界は最高に楽しめないと思う、そこまで評価を下げる作品でもないと思うので、これもまた酷評とかいろいろなネットの情報に振り回された作品じゃないかなと思う。
まあこれを前世代機で出そうという判断をしたCDPもあれだと思うが。
とそんな思い入れの強いサイバーパンクだがアニメ化されると聞いて正直そこまで期待していなかった。
しかし見てみたら作品世界を拡張するようで、うまい取捨選択をした傑作だった。
舞台はゲームのナイトシティーそのままに、時間軸がゲームよりも前の時間軸となる。
そこに特別何かを付け足すことなく、少々特別ではあるが主人公もずば抜けてナイトシティーで特別かといわれるとそうでもない。
そんな何でもない主人公があるきっかけを境にサイバーパンクへと成長していく物語である。
何よりもすごいのがこの作品の主軸は主人公が手に入れるインプラントをめぐる話であり、それ自体は確かにすごいのだがナイトシティー内にはよくあることで、最終的には企業間の競争や技術開発に使われる。
これがナイトシティー自体をひっくり返すような話だとゲームの世界や今後の世界観に影響が出てしまう、少々特別ではあるがあくまで1住人である何でもない男の話なところが秀逸である。
そんな主人公がインプラントをインストールすることでどんどん名を揚げていき、名声を得ていく、その中では失うものや得るものもあるという話。
とにかくこのあたりのまとめ方が秀逸でまたクリフハンガーも毎回あるため一気見するにはちょうどいい作品で寝不足になったのもいい思い出だ。
ゲームの世界を拡張するという意味でも素晴らしく、サイバーサイコシスはゲームをプレイしているだけだとただの中ボス的な立ち位置になっており、そこまで思い入れはないゲーム内設定になっている。
殺しの依頼や周りのテキストを見るとどうやってサイバーサイコになったのかなどがわかり世界観が広がるが、正直途中からは町を移動している途中で見つけてぶっ殺す的なあくまでゲームのモブ的な立ち位置が強かったのではないかと思う。
しかしこの作品でサイバーサイコのやばさや悲しさなどがより鮮明に受け出てくるようになり、ゲーム世界の拡張に一役買っているところがとても素晴らしい。
そして話の内容としてもヤバイインプラントをインストールした主人公の成長と、周りの仲間との青春作品のようなさわやかさやルーシーとの恋模様など、サイバーパンクという世界観であくまで我々の世界と同じような人間模様を主に描いている点がこれまた素晴らしい。
世界はやばいがそこに暮らしている人たちの営み、考えていること、悩み、目指すべき姿などは私たちと何一つ変わらないのが感情移入できる点で感動できる部分なのだろうと思う。
そういう意味で言うとサイバーパンクのゲームの中で記憶に残っているのはやばいキャラクターで、町の中にいる股間改造君や、キリストBD男、町を守るために汚職と戦う警官、ノーマッドとしての生活を守る人など、考えてみればサイバーパンクもあくまであの世界観で人々の生活や人間らしさを表現していたのではないかと思う。
こういった点でゲームのすばらしさ、作品のすばらしさが相互に作用しながら改めてこの世界観、作品は素晴らしいと再認識できる作品であった。
最後にこの作品を見るとこの曲を聴くだけで泣きそうになることは必至だ。
初見での最終話はなぜか久しぶりに泣けてきたし、今見ても泣きそうになる。