ゆとりが叫ぶFuck the World

アラサーゆとり世代が映画、音楽、ゲームなど自分が今まで接してきたもの通じて感じたことを残す記録

夏への扉 キミのいる未来へ(2021) 

 

 

公開:2021年

キャスト:山崎賢人、清原果耶、藤木直人 他

 

SFではなく恋愛映画としてみるべし、決して悪くはなくきれいにまとまった満足感のある作品

悪く聞こえるかもしれないがどこか長い世にも奇妙な物語を見た感じ(原作がそういった作品のもとになっていると思うけど)

 

あらすじ

天才ロボット発明家の主人公、早くに親をなくし義理の父に引き取られるもその父も事故で他界。

義理の妹とともに生活をし日々ロボット開発に明け暮れていた。

義理ではあるがお互い思いを寄せるが年齢の違い、境遇の違いもありより添えないまま。

そしてロボット開発絡みの陰謀に巻き込まれ冷凍睡眠に入り30年後に目覚めることに。

30年後の世界で陰謀の犯人に逆襲できるのか、そして妹に再び出会えるのか。

 

見てきました正直見る気はなかったです。

「あーよくある邦画の実写化か・・・」くらいに思っていて、題材としてはよく名著として名前が上がる原作だったため興味はあったのですがわざわざ邦画で実写化する必要あるか?と思いあまり見る気はしてなかったです。

まぁけど色々重なって見に行くことになって見てきました。結果として原作が原作なので面白い作品で金を無駄にしたとは思わなかったです。

 

そもそも原作なのですが自分は学生時代に何回か読んでます。厳密には読んでないのですが、毎回コールドスリープあたりで断念してしまうんですよね恥ずかしい話、なので最後まで読んでませんが序盤は2,3回読もうと試みています。

なんとなく作品の雰囲気はわかるのですがオチまでわからないのでどこが改変されているかというのはわからず、今更本棚から引っ張り出して読み始めました、まだコールドスリープら辺ですが。

 

感想

 

・ストーリーについて

話はきれいにまとまっており、正直前半部分は昔読んだ自分のイメージとは違い全体的にしっとりしたイメージの作品となっていた。

特に前半は仕事仲間、愛していると思っていた人にはめられるという最初の展開があるもののそこに行き着くまではどちらかといったら義理の妹との関係を描くのに時間をかけており、ここはまだ普通の恋愛映画といった感じ。

そこから序盤のひとひねりがあり30年後の未来へとなる。

夏菜演じる嫌な女もなんかちょっと大げさで明らかに怪しい嫌な奴といった感じ。けどテンプレ的な嫌な奴のためそこまで不快感がなかったかなといった感じ。もう一人の悪人の社長の方はあまり記憶に残らなかった。

 

コールドスリープ後の設定はもっとひねってほしかった気がする。SFを題材にしているものについては自分たちが思いつかないような技術やワクワクする未来像を見せてくれることを自分はSFに求めているので正直ここの未来像については物足りなかった。

1995年から2025年なので今自分たちがいる時代とは4年くらいしか差がない。そのため相棒のアンドロイドピートの技術進歩についてはあと4年じゃ正直無理だと思うのでこの部分はSFぽかったと思う。けどアンドロイドの話など今どきありふれているので驚きはなかったし、出てきたのは壁に文字が映し出されているようなサイネージの技術と自動運転、キャッシュレスなど今の時代でも全く持って珍しくないような技術でここのワクワクが足りなかった。

正直ここをしっかり描こうと思うとCGなど予算がかかるので仕方ないのかなと思ったし、どちらかというとこの作品においてはSFというよりも時代を超えた恋愛映画を描きたいというのがこの部分からもわかってくる。

と言ってもコールドスリープ後の話のテンポは良くて、このへんからトントンと話が進んでいく。30年間で自分のいた会社はどうなっているのか、あのときいた人々はどうなっているのかと手がかりから手がかりを探す謎解きパートが進行していく。

相棒アンドロイドピートとのやり取りもギャグっぽく描かれていて謎解きをしながらもとても軽快なテンポで話が進んでいき飽きなかった。そして様々な手がかりから手がかりを探っていき謎が出揃ったところでタイムマシーンを使っての再びの1995年パートに戻っていくことなる。

この手の話でのタイムスリップものにつきもののタイムスリップの説明についても簡単に説明して、自分としてはそういうことか細かいことは良いんだよと納得できたので逆に変に練りすぎていなくてよかった。テネットくらい練りすぎてたら正直邪魔になってたしそういう映画じゃないので。

 

終盤の1995年パートについては今までの伏線を回収していく流れとなる。だいたいこの辺からどういったことなのかと言うのは把握できているので答え合わせをしていくような感覚でまぁ計画は成功するだろうなという感じ。特に失敗やハラハラするシーンもなく伏線を回収してく。そしてきれいにエンディングとなる。

 

 

・キャストについて

全体的には良かったと思う。夏菜さんの演技はちょっと大げさで白けてしまう部分もあったが原作も結構なヒステリックなやつなのでまあ良いかなといった感じ。

他にも脇を固める俳優さんたちの演技は自然だったし、誇張しすぎる感じもなくコミカルすぎることなく邦画実写化の悪いところはなかったかなと。

特に藤木直人さんの演技がこの映画のスパイスになっておりアンドロイド役で少し毒づくところやコミカルな演技は映画に飽きない良い働きだったと思う。

主役についてもヒロインの清原果耶さんは恥ずかしながら知らなかったのですが儚げでどこか大人びているところもあり女子高生くらいの年代の約でしたが主人公とお互い気になる存在になるというのはどこか説得力があった気がします。あれでガッツリかわいい系の女優を使うと主人公が一回りくらい違う女性に恋をするロリコン野郎となってしまうと思うけど、そこは清野さんの演技と雰囲気で嫌味はなかったですね。

最後に主役の山崎賢人さんですが正直今まで良いイメージなかったです。自分の中では実写映画請負人という感じで結構役に恵まれていないイメージでした。実写映画なのでコミカルな演技や誇張した演技が多いイメージで大味な演技が多く、見たことがあるのが「キングダム」と「今際の国のアリス」だったので毎回大声で叫んでるようなイメージでした。しかし今回は人間ドラマ主体だったので落ち着いた演技でどこか影のある天才といった役を違和感なく演じていましたし。落ち着いたイメージが合っていた。こっちの路線の方が合ってると思うので今後役に恵まれてくれと願わんばかり。

 

・まとめ

と、ここまで書いてみて全体的には満足感のある映画でした、普通に面白かった。もともとの原作がしっかりとしているからか話しんテンポはよく、全体的にストーリーは面白かった。まだ原作全部読んでいないので改変部分は序盤くらいしかわからないですが話を大きく崩すような改変はなかったのではと思う。

主人公は原作では結構嫌味なやつで皮肉やでもあるし活発なイメージですが今回の作風においての改変としては成功。

序盤からお互いが大切な人と認識している部分については改変だが、上にも書いたようにそもそもSFではなく恋愛映画として撮っているのでそこは仕方ない部分かなとおもう、ここが許せない人もいると思うけど。一方この弊害になったのがSF描写で未来に行く話としては目新しい技術表現などはなく、SFとしては見に行かないほうが良いかも、ここで許せない人もいと思うのでひねった時間超える系恋愛映画として割り切って見に行ったほうが良いかも。

ミスチルの使い方もまあ良かったですけど、演出として気になったのはなんか音楽とともに過去を思い出すフラッシュバックみたいなのが2,3回くらいあってなんだこれって思った気がする。

 

良い原作ありきの無難にまとめてちょっと珍しい設定の恋愛映画に仕上げたって感じです。見ても損はないしそもそもの話が面白いので時間があれば見ていいけど、心に深く残るものではないのかなといった感じ。ちょっと長い世にも奇妙な物語を見た感じですね。映画としてCGとか使って未来描写をもっと派手にしてくれたらこうは思わなかったかも。けど時代設定1995年から2025年というのは工夫が効いていて良かった。何度もいうが悪くはない、邦画実写の悪いところも少ないし合格点、後味も良いのだけどSFとして見ると何か足りない一作。